スペシャルインタビュー 上田歩武

人と違うことをしたいなと思って生きてきた先に、自分の好きなファッションとお笑いを融合させた今がある – グッドウォーキン 上田歩武

上田歩武:1980年11月12日生まれ。滋賀県彦根市出身。大阪NSC23期生。2015年にグッド良平。と共にグッドウォーキンを結成。スニーカー芸人、刺繍芸人など、ボーダーレスに活躍中
 
2018年にスニーカー芸人として一躍注目を浴びた上田歩武さん。お笑いだけでなく、ファッション分野にも精通していらっしゃり、newhattan製品をボディとして、ご自身で手刺繍を施し、セレクトショップなどとコラボレーションされています。
今回は、そんな上田さんに、作品へのこだわりや、ファッション、エンターテイメントなど、幅広くお話をお伺いしました。
 


 
失恋から始まった手刺繍
-手刺繍を始められたきっかけは?
最初は、失恋からなんです。彼女にフラレて。その彼女が趣味で絵とか刺繍とかやってて、アルバイトとお笑い芸人の活動だけで暇だったので、なんか趣味みたいなの必要やなぁ、なんかあったらいいなぁと思っていて、今度なんか教えて~って話をしてたんですけど、結局夢叶わずフラレて(笑)。
二ヶ月くらいうだうだとしてたんですけど、そういえばそんなこと言ってたなぁというのと、2017年に入るタイミングで、なにか新しいことをやってみたいっていう衝動もあり、じゃあちょっとやってみようかっていうので、百円ショップで材料揃えて、youtubeで刺繍って調べて、動画見ながら自分の着てる服に縫った、みたいな。
そのタイミングで百円ショップにキャップもあったんですよ。無地の。あ、これなんかいいかもなと思って、それでずっとSNSにあげてたんです。ボディももっといいもの使いたいなっていうのがあって、newhattanにたどりついた感じですね。
 
-元々はご自身の服・キャップに刺繍する、というとこから始められたんですね。
そうですね。自分の好きなものを勝手に縫ってましたね、キャップに。マイケル・ジョーダンだったり、カートコバーンだったり。あとなんか、僕もその時はクソみたいな反骨精神の塊みたいなもんだったので。フリーターでアルバイトして、36歳で、もうどうすんねんみたいな。
そういう精神状態だったので、ゴミ置き場を刺繍したり、ドクロを縫ったりとか、自分の中のフラストレーションをなんとか作品に変えようと思って。
SNSで悪口を言うのは簡単なんですけど、それをするのは面白くないなぁと思って。誰が興味あんねんていう話だし、それやったら曲がりなりにも作品になったら一石二鳥じゃないか、と思ってやってたんですよね。
 
セレクトショップとのコラボレーション
-趣味で始められた手刺繍が、今では様々なコラボレーションを生み出していますが、そのきっかけは何だったんでしょうか?
販売するということは全く考えていなかったんですが、作品の数も溜まっていって、じゃあライブの物販で置いてみようかなと。バンドって物販があるんですけど、お笑い芸人のライブって物販があんまり無いんですよね。なんで無いのかは分からないんですけど、そういうのあっても面白いなと思って。
僕もファッションが好きなんで、じゃあキャップを並べてみようってなって、先輩とトークライブやったときに、先輩の知り合いの方が「うちのお店で置いていいですか?」って。じゃあ、そこにあるのをお願いしますって。
ああ、こういう形もあるんやって思ったんですけど、でも自分でどう営業したらいいかわかんないし、ずっとSNSにあげ続けていたんです。そしたら6(ROKU, UNITED ARROWS)さんから、いきなりDMがきて、fashionsnap.comからもインタビューさせてもらっていいですかっていうのが同時にばっときて。
その時に6(ROKU)でオーダー会を2日間やったんですけど、80件きて、当時はバイトもしてたんで、終わった次の日もバイトだったんですよ。週5~6でバイトしてたんで、どうしよ、やばいやばいってなってとりあえずバイト全部休む。4~5現場あったんですが、ざっと事情を説明して、今もバイトを休んでいる状態です(笑)。
 
-そんな中、刺繍のボディとして数ある帽子ブランドの中からnewhattanを選んで頂いた理由はどこにあるんですか?
女性の方が買われることが多くて、newhattanのキャップは女性に合うなと思って選びました。僕はスニーカー好きで、スニーカー方面は男性のファンの方が多いんですけど、刺繍は女性のお客さんのほうが多くて、女性向けっぽいなと。それこそROKUから声かかったのもそういう理由もあったんでしょうし、僕がその時やっていたのが男性向けだけだったら声がかかってなかったのかもしれない。そんな中で行き着いたのがnewhattanでした。一枚芯が入っていない状態なのも、刺繍する上でポイントですね。

左:オリジナルロゴ(刺繍ミシン縫い)、右:青信号モチーフ(手縫い)
 
ファッションとお笑いの融合
-上田さんは日本のファッションシーンをどのようにとらえていますか?
どうなんですかね。ファストファッションとかネットでもの買えたりとか、地方の人からしたら有り難い話ではあるんですけど、僕の場合はネット販売もやってないし、ましてや手作りで一点もの、が意外と受け入れてもらえるのは、みんなそういうのにちょっと飢えてんのかな、とは感じましたね。
刺繍自体がすごく上手いわけではないんですが、「こういうのがいい」って言われるんですよ。ニューヨークヤンキースのロゴキャップだったらミシンでやったほうがいいでしょうけど、「上田さんのそのヘタウマな感じでやって下さい」って。これだったら買ったほうがいいですよ、みたいな話をするんですけど、「上田さんがやってください」と言われるので、「手作り」というものにみんな目を向けているのかなぁとは思いますね。
ファッションや刺繍一筋というわけじゃないところも良かったのかなとは思います。人と違うことしたいなと思って生きてきた先に、自分の好きなファッションとお笑いを融合させた今がある。僕が刺繍の専門学校に通ってたら、これ(手刺繍)はやってなかったでしょうし。
 
-今後、お笑いなどのエンターテイメントと、ファッションの関わりはどのように変化していくと考えられていますか?
世界的に、っていう話は分からないですけど、僕の中では、芸人をやりながらアパレルさんともコラボレーションできる状況になっているので、逆にそこ(アパレル店舗)で、お笑いライブしちゃうとか、できたらいいなって思いますね。
基本的にファッション系のレセプションパーティーっていうのは嫌いで、秒で帰るんですよ(笑)。音楽ガンガン流して、お酒フリーで・・・何してんのこの人たち?みたいに思ってしまうんで。
それやったらデザイナーが来て、その服がどういうプロセスでできたのか、深掘りしていくほうが意味のある時間になりますし、それこそファッションに興味ある僕とかがインタビューする、みたいなことができるようになれたらなとは思いますね。そういう繋がれる場所、来たお客さんとデザインが繋がれる、今日のパーティ来てよかったなぁ、と思えるような、意味のある時間を作りたいなぁと。
 
-これまでそういったイベントを開催したことはありますか?
一度、中目黒のお店でそういうイベントを開く機会があって、ネタ見せたりしましたね。せっかく来てくれた人に対して、商品見せるだけじゃなく還元したいので。
「こっちをやってるからこっちはやらへん」、みたいなのはナンセンスだと思っていて、本業という考え方自体がもう違う。副業駄目っていう会社のルールとしてではなく、自分が個人事業主というか、アーティストとして考えたときに、一般企業で営業職をやっている人がイラストレーターとして活動しちゃあかんのかって思う。
 

刺繍キャップと上田氏。これまでに作られた一点ものの刺繍キャップは2,000個以上
 
去年と違う1年を過ごそう
-SNS上で話題の上田さんですが、発信者として世の中に伝えていきたいこと、表現していきたいことは何でしょうか?
1月にお笑いの単独ライブをやったんですけど、それとは別に刺繍の活動もワークショップとかやってますし、自分の思いつく限りのことはやりたいですよね。
芸人の先輩とも、去年と違う1年を過ごそう、その方が絶対に良いからっていう話をよくしています。僕はお笑いでなかなか結果が出なかったので、18年くらいずっと同じ1年だったんですよね、刺繍をやるまでは。オーディション受けて、ネタ合わせしてバイトして、ずっとそれ。そうすると歳を取るにつれて、サボり方を覚えてしまって、ネタもさらっと書けてしまったりするんですよね。そこで一所懸命、ひとつのことに120%の力をずっと注ぎ込める人はすごいんでしょうけど。自分の好きなこと、自分が120%の力を注ぎ込めるものって他にもあるんじゃないかって。それがファッションだったり、スニーカーだったり。
こんな風に好きなもののことを話して良い場があるんだっていうのは発見だったので、それで喜んでくれる人がいる限りはどんどんやっていこうと思っています。
刺繍も色々もっとやっていきたいなと思いますし、今はnewhattanのキャップがメインですけど、額装しておっきい作品を作れたらなとか、毎日考えています。フットワーク軽めにやっていきたい。極端な話をしてしまえば、刺繍にこだわっているわけではなく、飽きたら辞めますね(笑)。もちろん、一所懸命にやってはいるんですけど、ただそれだけになってしまうと良くないと思っています。
 
 
【上田歩武さんイベント情報】
グッドウォーキン「上田歩武」さんの手掛ける刺繍アイテムがアーバンマーケットに再登場!
今回は京都にあるレコ屋系Tシャツショップ〈ティーレコ〉と同時開催!
イベント限定のコラボアイテムも登場しますので、この機会をお見逃しなく!

会期:7/17(水)~7/23(火)

開催場所:LUCUA1100 2F isetan Urban Market/プロモーション1
上田歩武さんInstagram:uedaayumu
 


 

– newhattanとは –

2005年にニューヨークで生まれた帽子ブランド。
“Quality is Everything” をテーマに、世界中の人が手に取れるフェアな価格でありながら、妥協のない品質の製品を提供しています。
 
【会社概要】
会社名:株式会社ニューハッタンジャパン
設立:2016年12月
住所:〒103-0003
東京都中央区日本橋横山町7番地14号 (ログズ株式会社内)
電話番号:03-6861-3331 (ログズ株式会社内)
メールアドレス:info@newhattan.jp
【本件に関するお問合せ先】
営業担当:高越
電話:090-6406-5306
メールアドレス:info@newhattan.jp

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